ある日、お姫様になってしまった件について ルーカス。 ある日、お姫様になってしまった件について22話ネタバレ

ある日、お姫様になってしまった件について21話あらすじ感想ネタバレ

ある日、お姫様になってしまった件について ルーカス

悲運の王女アタナシアの皇居生存記! 天涯の孤児で薄幸な人生を生きてきたイ・・ジヘ、ある日目を覚ましたら、小説「愛しきお姫様」のアタナシア王女として目覚める。 きわどい状況の中で、賢く逆境を乗り越えていくアタナシア。 アタナシアの皇居生存期が今始まる。 5章 その父、クロード 1 第3章 あなたは誰ですか? 第4章 猫も命が九つなのに、なぜ私は一つだけなの 第4. 5章 その父、クロード 2 第5章 ロマンス小説の男の主人公はやはり一味違っていた 第6章 波乱万丈デビュタント 第6. 5章 それぞれの事情 第7章 まさかこれはグリーンライトですか? 5章 孤独な黒いオオカミ・ルーカスを触らないでください 2巻 第8章 特報! 黒い塔の魔法使いが現れた! 第9章 ちょっとだけ、さようなら 第10章 悪夢 第10. 5章 宴会の後 第11章 さようなら、お父さん 第11. 5章 その父、クロード 3 第12章 どうしても小説の中国のサブ男に会ったようです 第12. 5章 それぞれ眠れない夜 第13章 帰還 第13. 5章 そのお姫様を触れないでください 第14章 15歳の最後、そして17歳 第14. 5章 それぞれ変化する心 3巻 第15章 再び会ったサブ男、万感が交差する狩猟大会 第15. 5章 ゼニットと黒い塔の魔術師 第16章 物語のクライマックスが近づくと 第16. 5章 舞台上のマリオネット 第17章 世の中のすべての話には終わりがあるということです 第17. 5章 愛しいお姫様はどこに 第18章 美しい童話の中の主人公ではないが 外伝1 18歳でも相変わらず喧々囂々精神のない一日 外伝2 不思議の国のお姫様になりました 外伝3 ルーカス 作家後期.

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ある日、お姫様になってしまった件について21話あらすじ感想ネタバレ

ある日、お姫様になってしまった件について ルーカス

ある日、お姫様になってしまった件について22話ネタバレ 「ねえ…早く妹探しに行きなよ」 「えっ…?」 背を向け合ったまま話すアタナシアとイゼキエル。 「ジェニットって子のことさっきまで探してたんでしょ?」 「全部聞いてたんですね。 実は一人で泣いている気がして、探そうか迷ってたんです。 僕はもうすぐここを離れるんです。 それが寂しかったようで」 「ふ~ん。 お兄ちゃんのこと好きなんだね。 ねえ、そのジェニットってどういう子なの?」 「……僕が守るべき子です」 「そっ、それなら早く探してなだめてあげたら?」 (なんかスッキリしない反応よね?) 「泣く子は、どうやってなだめたらいいかわからないんです」 イゼキエルの反応に、アタナシアは驚きます。 (小説の中のイゼキエルは男主人公らしくずっとカッコイイ姿だったのに、小さい頃はこんな可愛い悩みもあったんだ。 からかってあげたい) 「ひ…天使様は、他の人がどのようになだめたら泣き止みますか?」 「そんなのわかるわけないでしょ」 「あっ、難しすぎる質問でし…」 「私は泣かないよ?何歳だと思ってるの?」 「……。 そうですか?」 笑いを堪えるように声が震えるイゼキエル。 「なっ、なんで笑うの?」 「すみません。 天使様が可愛くてつい」 (あぁ。 10歳児にこんなこと言われるなんて。 私はいまここで何してるんだか) 「ルーカス、この…」 アタナシアがルーカスの名前を口に出した途端、目の前の場面が切り替わります。 アタナシアは元居た宮へ戻ってきていました。 「おかえり」 何食わぬ顔でアタナシアを迎えるルーカス。 「楽しかったみたいだな。 思ったより俺を呼ぶのが遅かったじゃん。 自己紹介の方法は習ってきた…かっ!!」 思い切りルーカスの頭を殴りつけるアタナシア。 「うわ。 俺のこと叩いたのはお前が初めてだ。 でもなんで叩くんだよ?お前がシロジュニアと友達になりたいっていうから送ったんだぞ?」 「……」 (私がバカだと思う?) 怒りをあらわにするアタナシアに、さすがにルーカスも反省した様子。 「わかった俺が悪かったから怒るなよ」 「もう勝手にこういうことしないって約束して」 「わかった」 怒り心頭のアタナシアはソファーへ座り込みました。 「お前俺がめっちゃ強い魔法使いってことわかってるか?俺が本気出せば、オベリアをまるごと吹き飛ばせるんだぞ」 「そ、それがどうしたのよ」 「…そっか。 わかっててそう出るってことか」 (そういえばイゼキエルに何も言わずに帰って来ちゃった) アタナシアはルーカスの話なんてそっちのけで、イゼキエルのことを考えます。 「変な気分だな。 生まれてから親にも叩かれたことないのに」 * 「将来学者にでもなるつもりか?」 真剣な表情で机に向かうアタナシアに、ルーカスが声をかけます。 「学者になりたい人だけが勉強するわけじゃないでしょ?ただ褒められたら嬉しいし、面白いから一生懸命やってるだけ」 「ふーん。 なら女王になりたいのか?」 「変なこと言ってないであっち行ってよジャマなんだから。 あっちで歴史書でも読んでて。 私宿題あるから」 「あれつまんないよ、ウソばっかりで。 特に塔の魔法使いのこと好き勝手に書きやがって」 「塔の魔法使いがどうして?」 「一つずつ挙げてたらキリがないよ」 ルーカスは歴史書に手を伸ばします。 「まず塔の魔法使いが首都をつぶすことで、腐敗したオベリア旧王朝を正したってのもありえないし…。 気に入らなくてデコピンしただけなのに。 塔の魔法使いがアエテルニタスにほれて忠実な腹心を買って出たけど、やつが死んだ後に絶望して姿を隠したってのもそうだし。 もうちょいマシな嘘があっただろうに。 それに決定的なのが、塔の魔法使いが不慮の事故で外見が醜くなって閉じこもってるってのは完全にデタラメだよ。 塔の魔法使いは、いつもいつでも世界最高にカッコイイんだ」 (どうしてあんたがそんなに興奮してんの?もちろん私も党の魔法使いは好きだから、そうだったら嬉しいけど) 歴史書に目を通すルーカスを、アタナシアは見つめます。 (ところでこの変人もイゼキエルも…男のくせにどうしてこんなにキレイなんだろ) * 宮の中庭にて。 「シロおじさん、やっほー」 「ご無沙汰しております姫様」 (こうしてみると、確かにイゼキエルと似てるなぁ) 「姫様が元気そうでなによりです。 オベリアの宝である姫様が病にふせっているという知らせを聞き、非常に心配しておりました。 姫様を治療したという幼い魔法使いのお話も聞きました。 聞いたところその魔法使いを姫様のお話相手にしたとか…」 (なるほど。 イゼキエルはダメだったのに、他の奴が割り込んできて気に入らないのね) 「アーティはまだアルランタ語の勉強が足りなくて、おじさんとこのお兄ちゃんと女の子とは友達になれないから」 「ふむ…。 実は今回私の息子が、幅広い知識と経験のためにアルランタへ行くのです。 もちろんアルランタ語が堪能ですよ。 なので、もしよろしければ、その前に息子が姫様のアルランタ語の勉強をお手伝…」 「わあ!すごいね!それじゃあお兄ちゃんが戻ってくるまでに、アーティも勉強頑張らなきゃ!」 「いえ、息子に言って勉強を…」 「アーティ今よりもっと賢くなれるよ!お兄ちゃんにも頑張ってって伝えてね!」 そう言うと、アタナシアはフィリックスに抱き着きます。 「それじゃシロおじさんバイバイ!」 「姫様、私も今日から勉強量をもっと増やしますね。 今の友達である私も頑張らないと」 「えっ。 フィリックスは今のままでも全然いいのに!」 * 「ねえ。 この前の場所にまた送ってくれない?」 アタナシアはきらきらした顔でルーカスに尋ねます。 「この前の場所?シロの家?いつ?今?」 「えっ、ホントに送ってくれるの?」 「送って欲しいんだろ?ただ言ってみただけなのか?」 「そうじゃないけど」 (なんでこんなに素直なんだろ。 叩いたおかげかな) 「あっ、それと…」 * 「うわっ!」 強い衝撃と共に場所が切り替わり、戸惑うアタナシア。 「ゴホゴホッ!」 (ここはどこ?なんでこんな狭いの?ルーカスってば!どうしてもっと優雅に送ってくれないの…!) 「あっ!」 立ち上がろうとして、頭を何かにぶつけるアタナシア。 「ひ…!そ…そこで何をされてるのですか?」 目の前にいたのは、驚いた様子のイゼキエルです。 (ペチカの中!?) 自分の居場所に気付いたアタナシアは、心の中で(ルーカスのバカヤロー!)と悪態を吐きます。 「ホコイはべた」 ペチカから出たアタナシアのドレスの汚れを、イゼキエルは手際よく落としていきます。 (これは妹がいるお兄ちゃんね。 面倒見の良さバッチリ) アタナシアの顔を見たイゼキエルは、ハッとします。 「赤い目…」 ~遡ること少し前~ 「あっそれと、目の色ちょっと変えてくれる?」 「この世に俺にできないことはないさ」 ~回想終了~ 「あの、そんな見つめられると困るんだけど」 「すみません。 どうしてここに…」 (すごく慌ててる) 「あの時私が突然消えたでしょ?」 「はい、心配しました。 恐らくそうだとは思いましたが、元居た場所にご無事に戻られたようでよかったです」 (やっぱりまた来てよかった) 「うん。 あの時挨拶できなかったから、また来たんだ」 「それでは、あの時僕に挨拶をできなかったのが気になって、またいらっしゃったという…。 では今日は僕に会いに来てくださったんですね」 「そう…だね」 ポッと顔を赤らめるイゼキエル。 (あっ、やっぱりこの初々しい反応新鮮!) 「何してたの?」 部屋を見渡して、アタナシアは尋ねます。 「『偏微分方程式による時空間の曲率研究と特殊相対性理論に基づくゲール・シラーの論理の誤りとその批判そして再解釈』を勉強していました」 時が止まるアタナシア。 (なにそれ?本の題名? 早期教育ってレベルじゃないけど?何者なの??) 「…社会学はどこまで勉強した?ビル・ロイツは知ってる?ジョセフ・ロートスの再帰理論は?」 「もうビル・ロイツとジョセフ・ロートスをご存知なんですか?驚きですね。 僕は最近ハーペス・コエルの表象的実在論を勉強しています」 「アルランタ語で日常会話してみて」 「え?」 「早く!」 「突然どうしてこんな質問をするのですか?突然すぎて何を言えば良いのか思い浮かばないのですが。 それよりすでにアルランタ語の日常会話ができるん…」 「アルランタ語で表象的実在論を説明してみて」 「ハーペス・コエルがマークビル歴231年に初めて主張した理論で、事物の内的対象と外的対象に対する直・間接的知覚を観念的に…」 イゼキエルは戸惑いながらも応えます。 「サイカンシアの神聖帝国語はどれくらいできるの?神曰くお前たちは私の血の乳から生まれたため、堕落した楽園から永遠に抜け出せないだろう」 「しかし億ごうの歳月が流れた後、私がお前たちを救うのだ。 その破滅の日まで皆血の聖杯を挙げよ。 素晴らしい。 サイカンシアの聖書の内容をすでに12章41節まで覚えていらっしゃるなんて。 普通ここまで進んでいれば15歳くらいなのに、素晴らしいですね」 (何章何節の内容かまで覚えてるの!?それは私も分からないのに! 突然聖書の文を言ったのに、1秒もためらわず答えたわね。 私もまだ習ってないハーペス・コエルも知ってるし。 アルランタ語で難しいことで有名な「i」変化形の単語も正しく使ってた) 「本当に信じられませんね」 イゼキエルは唖然としてアタナシアを見つめます。 (これが男主人公!!) その時、扉をノックする音が聞こえました。 「お兄ちゃん」 「!」 (ジェニット!?) 「妹なの?」 「お兄ちゃん、私入っていい?」 「ちょっと待ってて。 僕が出るよ」 イゼキエルはアタナシアへ「ここで少々お待ちください」と声をかけて、扉へ向かいます。 (う~ん…大丈夫だよね?もしもに備えて目の色も変えたし) 「どうしたの?」 「本読んで欲しいの」 「本?」 「うん、この間読んでくれたやつ。 後編も全部読んでよ」 「それは2日前に最後まで読んであげただろ」 「じゃあアリスの髪の毛透かすの手伝って」 「アリスは今頃物干しにぶらさがってるよ。 朝にエイミーと一緒に洗濯かごに入れただろう?」 「じゃっ、じゃあ一緒に温室行こう。 今日は白いバラが咲いたってアンが言ってたの」 「ジェニット…」 (あ…お兄ちゃんと遊びたいんだな…) 「今はおじさんもいないでしょ。 だから私と一緒にバラを見に行こうよ、ね?」 イゼキエルは遠慮がちにアタナシアを見ます。 アタナシアはカーテンの影に隠れて、「行っていいよ」と伝えます。 「部屋に何かあるの?」 「いや、窓が…開いてないか見ただけだよ。 …わかったよ、温室に行こう」 「ホント?」 (声を聞いただけでもすごく可愛いな) 部屋を出る間際、イゼキエルは「すぐ戻ってくるので待っててください」とアタナシアへ伝えます。 (待っててくれって?いつ帰ってくるかわかんないのに待てないよ。 もう帰らなきゃ) 「あいつキメラか?」 突然背後に現れたルーカスに、アタナシアは声を荒げます。 「わっびっくりした!!」 「うわっ!!あぁ耳痛い」 「あんたがどうしてここにいるの!?」 「どうしてって、お前が友達になりたがってるやつを見に来たんだよ。 あの女、キメラなのか?」 ルーカスのセリフに、びくりと反応するアタナシア。 「温室って言ってたよな。 俺も行かなきゃ」 「何しに行くの?私もう帰ろうと思ってたのに」 「大丈夫、バレないよ」 (もう帰ろうってば!!) 22話はここで終了です。

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ある日、お姫様になってしまった件について21話あらすじ感想ネタバレ

ある日、お姫様になってしまった件について ルーカス

ある日、お姫様になってしまった件について22話ネタバレ 「ねえ…早く妹探しに行きなよ」 「えっ…?」 背を向け合ったまま話すアタナシアとイゼキエル。 「ジェニットって子のことさっきまで探してたんでしょ?」 「全部聞いてたんですね。 実は一人で泣いている気がして、探そうか迷ってたんです。 僕はもうすぐここを離れるんです。 それが寂しかったようで」 「ふ~ん。 お兄ちゃんのこと好きなんだね。 ねえ、そのジェニットってどういう子なの?」 「……僕が守るべき子です」 「そっ、それなら早く探してなだめてあげたら?」 (なんかスッキリしない反応よね?) 「泣く子は、どうやってなだめたらいいかわからないんです」 イゼキエルの反応に、アタナシアは驚きます。 (小説の中のイゼキエルは男主人公らしくずっとカッコイイ姿だったのに、小さい頃はこんな可愛い悩みもあったんだ。 からかってあげたい) 「ひ…天使様は、他の人がどのようになだめたら泣き止みますか?」 「そんなのわかるわけないでしょ」 「あっ、難しすぎる質問でし…」 「私は泣かないよ?何歳だと思ってるの?」 「……。 そうですか?」 笑いを堪えるように声が震えるイゼキエル。 「なっ、なんで笑うの?」 「すみません。 天使様が可愛くてつい」 (あぁ。 10歳児にこんなこと言われるなんて。 私はいまここで何してるんだか) 「ルーカス、この…」 アタナシアがルーカスの名前を口に出した途端、目の前の場面が切り替わります。 アタナシアは元居た宮へ戻ってきていました。 「おかえり」 何食わぬ顔でアタナシアを迎えるルーカス。 「楽しかったみたいだな。 思ったより俺を呼ぶのが遅かったじゃん。 自己紹介の方法は習ってきた…かっ!!」 思い切りルーカスの頭を殴りつけるアタナシア。 「うわ。 俺のこと叩いたのはお前が初めてだ。 でもなんで叩くんだよ?お前がシロジュニアと友達になりたいっていうから送ったんだぞ?」 「……」 (私がバカだと思う?) 怒りをあらわにするアタナシアに、さすがにルーカスも反省した様子。 「わかった俺が悪かったから怒るなよ」 「もう勝手にこういうことしないって約束して」 「わかった」 怒り心頭のアタナシアはソファーへ座り込みました。 「お前俺がめっちゃ強い魔法使いってことわかってるか?俺が本気出せば、オベリアをまるごと吹き飛ばせるんだぞ」 「そ、それがどうしたのよ」 「…そっか。 わかっててそう出るってことか」 (そういえばイゼキエルに何も言わずに帰って来ちゃった) アタナシアはルーカスの話なんてそっちのけで、イゼキエルのことを考えます。 「変な気分だな。 生まれてから親にも叩かれたことないのに」 * 「将来学者にでもなるつもりか?」 真剣な表情で机に向かうアタナシアに、ルーカスが声をかけます。 「学者になりたい人だけが勉強するわけじゃないでしょ?ただ褒められたら嬉しいし、面白いから一生懸命やってるだけ」 「ふーん。 なら女王になりたいのか?」 「変なこと言ってないであっち行ってよジャマなんだから。 あっちで歴史書でも読んでて。 私宿題あるから」 「あれつまんないよ、ウソばっかりで。 特に塔の魔法使いのこと好き勝手に書きやがって」 「塔の魔法使いがどうして?」 「一つずつ挙げてたらキリがないよ」 ルーカスは歴史書に手を伸ばします。 「まず塔の魔法使いが首都をつぶすことで、腐敗したオベリア旧王朝を正したってのもありえないし…。 気に入らなくてデコピンしただけなのに。 塔の魔法使いがアエテルニタスにほれて忠実な腹心を買って出たけど、やつが死んだ後に絶望して姿を隠したってのもそうだし。 もうちょいマシな嘘があっただろうに。 それに決定的なのが、塔の魔法使いが不慮の事故で外見が醜くなって閉じこもってるってのは完全にデタラメだよ。 塔の魔法使いは、いつもいつでも世界最高にカッコイイんだ」 (どうしてあんたがそんなに興奮してんの?もちろん私も党の魔法使いは好きだから、そうだったら嬉しいけど) 歴史書に目を通すルーカスを、アタナシアは見つめます。 (ところでこの変人もイゼキエルも…男のくせにどうしてこんなにキレイなんだろ) * 宮の中庭にて。 「シロおじさん、やっほー」 「ご無沙汰しております姫様」 (こうしてみると、確かにイゼキエルと似てるなぁ) 「姫様が元気そうでなによりです。 オベリアの宝である姫様が病にふせっているという知らせを聞き、非常に心配しておりました。 姫様を治療したという幼い魔法使いのお話も聞きました。 聞いたところその魔法使いを姫様のお話相手にしたとか…」 (なるほど。 イゼキエルはダメだったのに、他の奴が割り込んできて気に入らないのね) 「アーティはまだアルランタ語の勉強が足りなくて、おじさんとこのお兄ちゃんと女の子とは友達になれないから」 「ふむ…。 実は今回私の息子が、幅広い知識と経験のためにアルランタへ行くのです。 もちろんアルランタ語が堪能ですよ。 なので、もしよろしければ、その前に息子が姫様のアルランタ語の勉強をお手伝…」 「わあ!すごいね!それじゃあお兄ちゃんが戻ってくるまでに、アーティも勉強頑張らなきゃ!」 「いえ、息子に言って勉強を…」 「アーティ今よりもっと賢くなれるよ!お兄ちゃんにも頑張ってって伝えてね!」 そう言うと、アタナシアはフィリックスに抱き着きます。 「それじゃシロおじさんバイバイ!」 「姫様、私も今日から勉強量をもっと増やしますね。 今の友達である私も頑張らないと」 「えっ。 フィリックスは今のままでも全然いいのに!」 * 「ねえ。 この前の場所にまた送ってくれない?」 アタナシアはきらきらした顔でルーカスに尋ねます。 「この前の場所?シロの家?いつ?今?」 「えっ、ホントに送ってくれるの?」 「送って欲しいんだろ?ただ言ってみただけなのか?」 「そうじゃないけど」 (なんでこんなに素直なんだろ。 叩いたおかげかな) 「あっ、それと…」 * 「うわっ!」 強い衝撃と共に場所が切り替わり、戸惑うアタナシア。 「ゴホゴホッ!」 (ここはどこ?なんでこんな狭いの?ルーカスってば!どうしてもっと優雅に送ってくれないの…!) 「あっ!」 立ち上がろうとして、頭を何かにぶつけるアタナシア。 「ひ…!そ…そこで何をされてるのですか?」 目の前にいたのは、驚いた様子のイゼキエルです。 (ペチカの中!?) 自分の居場所に気付いたアタナシアは、心の中で(ルーカスのバカヤロー!)と悪態を吐きます。 「ホコイはべた」 ペチカから出たアタナシアのドレスの汚れを、イゼキエルは手際よく落としていきます。 (これは妹がいるお兄ちゃんね。 面倒見の良さバッチリ) アタナシアの顔を見たイゼキエルは、ハッとします。 「赤い目…」 ~遡ること少し前~ 「あっそれと、目の色ちょっと変えてくれる?」 「この世に俺にできないことはないさ」 ~回想終了~ 「あの、そんな見つめられると困るんだけど」 「すみません。 どうしてここに…」 (すごく慌ててる) 「あの時私が突然消えたでしょ?」 「はい、心配しました。 恐らくそうだとは思いましたが、元居た場所にご無事に戻られたようでよかったです」 (やっぱりまた来てよかった) 「うん。 あの時挨拶できなかったから、また来たんだ」 「それでは、あの時僕に挨拶をできなかったのが気になって、またいらっしゃったという…。 では今日は僕に会いに来てくださったんですね」 「そう…だね」 ポッと顔を赤らめるイゼキエル。 (あっ、やっぱりこの初々しい反応新鮮!) 「何してたの?」 部屋を見渡して、アタナシアは尋ねます。 「『偏微分方程式による時空間の曲率研究と特殊相対性理論に基づくゲール・シラーの論理の誤りとその批判そして再解釈』を勉強していました」 時が止まるアタナシア。 (なにそれ?本の題名? 早期教育ってレベルじゃないけど?何者なの??) 「…社会学はどこまで勉強した?ビル・ロイツは知ってる?ジョセフ・ロートスの再帰理論は?」 「もうビル・ロイツとジョセフ・ロートスをご存知なんですか?驚きですね。 僕は最近ハーペス・コエルの表象的実在論を勉強しています」 「アルランタ語で日常会話してみて」 「え?」 「早く!」 「突然どうしてこんな質問をするのですか?突然すぎて何を言えば良いのか思い浮かばないのですが。 それよりすでにアルランタ語の日常会話ができるん…」 「アルランタ語で表象的実在論を説明してみて」 「ハーペス・コエルがマークビル歴231年に初めて主張した理論で、事物の内的対象と外的対象に対する直・間接的知覚を観念的に…」 イゼキエルは戸惑いながらも応えます。 「サイカンシアの神聖帝国語はどれくらいできるの?神曰くお前たちは私の血の乳から生まれたため、堕落した楽園から永遠に抜け出せないだろう」 「しかし億ごうの歳月が流れた後、私がお前たちを救うのだ。 その破滅の日まで皆血の聖杯を挙げよ。 素晴らしい。 サイカンシアの聖書の内容をすでに12章41節まで覚えていらっしゃるなんて。 普通ここまで進んでいれば15歳くらいなのに、素晴らしいですね」 (何章何節の内容かまで覚えてるの!?それは私も分からないのに! 突然聖書の文を言ったのに、1秒もためらわず答えたわね。 私もまだ習ってないハーペス・コエルも知ってるし。 アルランタ語で難しいことで有名な「i」変化形の単語も正しく使ってた) 「本当に信じられませんね」 イゼキエルは唖然としてアタナシアを見つめます。 (これが男主人公!!) その時、扉をノックする音が聞こえました。 「お兄ちゃん」 「!」 (ジェニット!?) 「妹なの?」 「お兄ちゃん、私入っていい?」 「ちょっと待ってて。 僕が出るよ」 イゼキエルはアタナシアへ「ここで少々お待ちください」と声をかけて、扉へ向かいます。 (う~ん…大丈夫だよね?もしもに備えて目の色も変えたし) 「どうしたの?」 「本読んで欲しいの」 「本?」 「うん、この間読んでくれたやつ。 後編も全部読んでよ」 「それは2日前に最後まで読んであげただろ」 「じゃあアリスの髪の毛透かすの手伝って」 「アリスは今頃物干しにぶらさがってるよ。 朝にエイミーと一緒に洗濯かごに入れただろう?」 「じゃっ、じゃあ一緒に温室行こう。 今日は白いバラが咲いたってアンが言ってたの」 「ジェニット…」 (あ…お兄ちゃんと遊びたいんだな…) 「今はおじさんもいないでしょ。 だから私と一緒にバラを見に行こうよ、ね?」 イゼキエルは遠慮がちにアタナシアを見ます。 アタナシアはカーテンの影に隠れて、「行っていいよ」と伝えます。 「部屋に何かあるの?」 「いや、窓が…開いてないか見ただけだよ。 …わかったよ、温室に行こう」 「ホント?」 (声を聞いただけでもすごく可愛いな) 部屋を出る間際、イゼキエルは「すぐ戻ってくるので待っててください」とアタナシアへ伝えます。 (待っててくれって?いつ帰ってくるかわかんないのに待てないよ。 もう帰らなきゃ) 「あいつキメラか?」 突然背後に現れたルーカスに、アタナシアは声を荒げます。 「わっびっくりした!!」 「うわっ!!あぁ耳痛い」 「あんたがどうしてここにいるの!?」 「どうしてって、お前が友達になりたがってるやつを見に来たんだよ。 あの女、キメラなのか?」 ルーカスのセリフに、びくりと反応するアタナシア。 「温室って言ってたよな。 俺も行かなきゃ」 「何しに行くの?私もう帰ろうと思ってたのに」 「大丈夫、バレないよ」 (もう帰ろうってば!!) 22話はここで終了です。

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